直線の直交
ゆっくりですが、高校数学の復習をしています。教科書で、直線
\begin{eqnarray*}
y_{1} &=& m_{1}x + n_{1} \tag{1} \\
y_{2} &=& m_{2}x + n_{2} \tag{2}
\end{eqnarray*}
が与えられたとき、$y_{1}$と$y_{2}$が直行する条件は$m_{1}m_{2} = -1$の時である、と書いてありましたが、証明がありませんでした。受験なら直交の条件を覚えて使えばいいのでしょうが、私は頭が悪く暗記が苦手(=文系教科は壊滅的)なので、「なぜその条件なの?」を理解しないとなかなか受け入れられません(損な性格かも)。と言うわけで、直線が直行する時に傾きの積が$-1$になることを確認しました。
ここでは「三平方の定理(ピタゴラスの定理)」は受け入れているとします。また、三平方の定理から導かれる、任意の点$(x, y)$の原点$O$からの距離$r$は$r = \sqrt{x^{2} + y^{2}}$であることも受け入れているとします。
話を簡単にするために、$(1)$、$(2)$を原点$O$と交わるように平行移動してしまいます。すると
\begin{eqnarray*}
y^{\prime}_{1} &=& m_{1}x \tag{3} \\
y^{\prime}_{2} &=& m_{2}x \tag{4}
\end{eqnarray*}
について、$(3)$と$(4)$で表される直線が直行している時、$m_{1}m_{2} = -1$であることを導けばいいことになります。このグラフを下図に示します。(準備中)
$(3)$と$(4)$で示される直線が直行している時、$x = 1$の時の直線$y^{\prime}_{1}$上の点$P_{1} = (1, m_{1})$と直線$y^{\prime}_{2}$上の点$P_{2} = (1, m_{2})$及び原点$O$で表される三角形は直角三角形です。三平方の定理より
\begin{eqnarray*}
\left(\overline{P_{1}P_{2}}\right)^{2} &=& \left(\overline{OP_{1}}\right)^{2} + \left(\overline{OP_{2}}\right)^{2} \\
(|m_{1} – m_{2}|)^{2} &=& \left(\sqrt{1^{2} + (m_{1})^{2}}\right)^{2} + \left(\sqrt{1^{2} + (m_{2})^{2}}\right)^{2} \\
(m_{1})^{2} -2m_{1}m_{2} + (m_{2})^{2} &=& 1 + (m_{1})^{2} + 1 + (m_{2})^{2} \\
-2m_{1}m_{2} &=& 2 \\
m_{1}m_{2} &=& -1
\end{eqnarray*}
証明できました!
教科書の範囲からは外れるのですが、$x$軸に平行な直線と$y$軸に平行な直線(特に$y$軸に平行な直線は$y = mx + n$では表せません)は明らかに直交していますが、これを示すには$x$軸に並行なベクトルと$y$軸に平行なベクトルの内積が$0$であることを示せばいいです。そして、ベクトルの内積が$0$であることは、実はここで証明した傾きの積が$-1$であることと等価です。
教科書を見てみると、ベクトルの内積が出てこないのですが(というか、ベクトルが出てきません。更に、教科書では行列は全く触れていませんね。行列もベクトルも、私が高校生の時には教科書に載っていたのですが…)、教科書執筆当時の学習指導要領にはベクトルがなかったのでしょうか…?ベクトルの外積は高校では学ばず進学してからですが…(でも、一陸技には当然ベクトルの外積は必須です(笑))。