2元1次不定方程式
「カラー改訂版 忘れてしまった高校の数学を復習する本」、勉強しています。p.72の「2元1次不定方程式」の理解に苦しんだのでメモ書きを…。
先ずは「2元1次不定方程式」の一般型を示します。
\begin{equation}
ax + by = c \tag{1}
\end{equation}
ここで、この式を満たす整数解$(x, y) = (x_{0}, y_{0})$が見つかったとします。このとき、上式は
\begin{equation}
ax_{0} + by_{0} = c \tag{2}
\end{equation}
となります。$(1)$式から$(2)$式を引くと、
\begin{eqnarray*}
a(x – x_{0}) + b(y – y_{0}) = 0 \tag{3}
\end{eqnarray*}
となります。ここで$a$と$b$は互いに素であるとします(素でない場合は、共通因子で割ってしまいます)。教科書ではいきなり整数解の一般式が現れたのですが(ここで苦しんだ)、これが理解できなかったので、解いてみました。先ず、$x$を求めます。
\begin{eqnarray*}
a(x – x_{0}) &=& -b(y – y_{0}) \\
x – x_{0} &=& -\frac{b(y – y_{0})}{a} \\
x &=& -\frac{b(y – y_{0})}{a} + x_{0} \tag{4}
\end{eqnarray*}
ここで、$x$が整数である条件は、
①$b$が$a$の倍数である
②$y – y_{0}$が$a$の倍数である
のいずれかです。①は$a$と$b$が互いに素であるという前提に反しますので、却下されます。ですので、$x$が整数である条件は、②になります。そこで、$y – y_{0} = ak$($k$は整数)とおくと、$(4)$式は
\begin{eqnarray*}
x &=& -\frac{bak}{a} + x_{0} \\
&=& -kb + x_{0} \tag{5}
\end{eqnarray*}
となり、$x$が導かれました。$(5)$式を$(3)$式に代入すると、
\begin{eqnarray*}
a(-kb + x_{0} – x_{0}) + b(y – y_{0}) &=& 0 \\
-bka + b(y – y_{0}) &=& 0 \\
-ka + y – y_{0} &=& 0 \\
y &=& ka + y_{0} \tag{6}
\end{eqnarray*}
となります。また、そもそも$y – y_{0} = ak$とおいたので、これを変形して
\begin{eqnarray*}
y – y_{0} &=& ak \\
y &=& ak + y_{0} \\
&=& ka + y_{0} \tag{7}
\end{eqnarray*}
となり、当然ながら$(6)$式と$(7)$式は一致しました。
教科書と符号が逆ですね。これは本質的な問題ではないのですが、$k^{\prime} = -k$とすれば$(5)$式と$(6)$式は
\begin{eqnarray*}
x &=& k^{\prime}b + x_{0} \tag{8} \\
y &=& -k^{\prime}a + y_{0} \tag{9}
\end{eqnarray*}
となり、符号も一致しました。
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